『水道水を飲むと癌(がん)死亡率が上がる』という噂があります。幼い頃から飲んでいる水道水。近年は水道水の品質が向上しているという報道もありますが、このような噂が昔からありました。気になっていたのでこの噂が本当かどうか調べてみました。まず水道水がどのように作られるのかをご確認下さい。
水道水はどのようにして作られるの?
水道水として家庭に届ける前に、水道水の原水(川の水など)を浄水場に送り、浄水処理をします。浄水場では、大きな粒子の沈殿、にごりの沈殿、有機物の分解などを行い、最後に消毒のために塩素殺菌をしてから各家庭に送り出します。 水道水でもっとも大切な条件は、そのまま安心して飲める無菌の水を供給することです。そのため日本の水道法では、各家庭の蛇口でも1ℓあたり0.1mg以上の塩素が残っているように塩素消毒をすることが義務付けられています。
浄水場の浄水方法は2種類
浄水場の浄水方法は、『急速ろ過方式』と『緩速ろ過方式』の2種類があります。 浄水処理でもっとも多いのは、汚れを分解するのにはじめから塩素を使う『急速ろ過方式』です。
『急速ろ過方式』の塩素処理には2つの役割がある
[役割①] 前塩素処理
水道水の原水からマンガン、アンモニア、有機物などの除去を行う
[役割②] 後塩素処理
給配水管の途中で混入するかもしれない病原菌の殺菌を行う
水道水を飲むと癌(がん)死亡率が上がる噂を広めた報告書
1974年にアメリカで『ハリス・レポート』という報告書が発表されました。塩素処理をした水道水を飲んでいる区域では、癌(がん)による死亡率が10万人につき33人多いという内容です。原因は水道水に含まれているクロロホルムという説でした。この報告書が発表された後、水道水を飲むと癌(がん)になるというイメージが定着します。
水道水に含まれるクロロホルムとはトリハロメタンの仲間
クロロホルムは、メタン(CH4)の4個の水素原子の内3個(塩素、臭素、ヨウ素)がハロゲン原子に置きかわったトリハロメタンの仲間です。トリハロメタンには結合しているハロゲンにより10種ほどの物質があり、水道水に含まれるトリハロメタンのうち60~90%がクロロホルムになります。
トリハロメタンはどのようにして水道水に含まれるのか?
トリハロメタンは『急速ろ過方式』の前塩素処理の際、水の中の汚れを分解した物質などと塩素が結びついてできてしまいます。有機物の汚れが多いほど、トリハロメタンはたくさんできる特徴があります。夏などの湿度が高い時期は、有機物の量が増えるためトリハロメタンの濃度は上がります。
トリハロメタンが原因で癌(がん)が発症する確証はない
IARC(国際がん研究機関)の発表では、トリハロメタンが原因で癌(がん)が発症する確証はないとの見解です。 WHO(世界保健機構)はクロロホルムの含有量は0.2mg/Lに設定。この数値以下のクロロホルムが含まれている水を生涯、飲み続けても発がん率が10万分の1を超えないレベルの水質基準設定になっています。 日本の水質基準は「0.06mg/L」でかなり厳しい基準です。またクロロホルムを摂取しても代謝される物質のため過度に恐れる必要はありません。
水道水の中のトリハロメタン類の濃度を下げることはできるのか?
ある程度の費用負担がかかりますが、『高度浄水処理方式』を採用すれば可能です。浄水処理の工程の中で塩素ではなくオゾンを使用することで、トリハロメタン類などの有機塩素化合物はできません。
高度浄水処理の方法とは?
浄水処理方法は、オゾン処理、活性炭処理、生物処理があります。 有機物などの汚れが多い原水を使用している地域では、オゾンを使用した高度浄水処理方式を導入し始めています。
『高度浄水処理方式』を採用している大阪府の例
大阪府営水道では、『生物処理』『オゾン処理』『粒状活性炭処理』を採用しています。 淀川の水が原水でカビ臭もほとんどなくなり、ミネラルウォーターとの差が感じられないぐらいの水質に生まれ変わっているようです。
【処理方式の流れ】
原水(淀川の水) ⇒ 生物処理 ⇒ 疑集沈殿 ⇒ 砂ろ過 ⇒ オゾン処理 ⇒ 粒状活性炭処理 ⇒ 浄水
『安全な水を飲みたい』という方へ
トリハロメタン類などの有機化合物が含まれている水道水を飲んでも特に危険性はありません。
それでも心配で安全な水を飲みたいという方はRO逆浸透膜フィルターを通した水を飲用することをオススメします。
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浄水器メーカーの販売員達の中では、『弊社の製品はトリハロメタン類を除去します』というのが鉄板の営業トークなっていますので、購入前に必ず製品の品質をチェツクして本当かどうか確認して下さい。