水素分子は様々な病気の原因と考えられている悪玉活性酸素を還元する特徴があることで注目されていますが、実は人間の体内でも日々、水素は作られています。
生体を構成するタンパク質や遺伝子のDNAに水素は含まれている!
大腸には水素を産生する菌がいて、1日に多いときで10ℓ以上の水素ガスが産生されています。(体外に排出される量と血液循環で血管に吸収される量は合わせて約40%)また水素は生体内で水として存在し、生体を構成するタンパク質、遺伝子のDNA、糖質、脂質などにも広く含まれています。
水素の体内存在量は約10%もある!
※文部科学省より画像引用
体内の元素存在量から比率の多い順にならべると、水素は生体元素の中で酸素・炭素の次に多い元素であり体重の約10%を占める量があります。
酸素(O) 65% | 炭素(C) 18% | 水素(H) 10% | 窒素(N) 3% | カルシウム(Ca) 1.5% | リン(P) 1% |
おならからも水素は出ている
人間のおならの量は体調や食べた物により個人差はありますが、平均すると1回で数mℓ~約150mℓほどの量で、1日で約400mℓ~2ℓが排出されていると言われています。おならの主な成分は飲みこまれた空気中の窒素が約60%~70%、水素が約10~20%、二酸化炭素が約10%であとはその他(酸素、アンモニア、脂肪酸、硫化水素など)。おならとして外部に出る以外の水素は体内に吸収されて血液循環に乗って全身へ回っています。
最も水素が蓄積されているのは『肝臓』
人間の体内で一番、多く水素が蓄積されているのは『解毒』、『代謝』、『分泌』という機能を持ち抗酸化物質の供給が大量に必要となる肝臓と言われています。その次に多く蓄積されているのは、体内で最も活性酸素が発生する臓器である腸と言われています。腸の健康状態を保つ(慢性的な便秘や異常発酵を解消)ことで、活性酸素の大量発生を抑えることが可能です。
体内に蓄積されている『水素』が不足すると・・・
加齢や他の原因で体内から水素が減少し始めると、老化⇒病気⇒死のプロセスが進行すると考えられています。水素は体内で流れている水の低い酸化還元電位を生み出す大切な元素であり、細胞内外の組織に含まれている水素が不足すると、その周辺の還元力が弱体化し酸化の進行が早くなります。活性酸素の影響などで細胞膜が酸化し始めるとリン脂質が過酸化脂質に変化します。膜は柔軟性を失い硬くなり栄養素(ミネラルなど)の出入りの悪化につながり結果、細胞機能が劣化します。また体内での水素不足はDNAの損傷にも関係し細胞分裂活動を止めてしまうこともあります。
●リン脂質
1つまたは2つのリン酸基を持つ脂質で、特にグリセロリン脂質やスフィンゴ脂質誘導体のもの。頭部の親水部分と尾部の疎水部による極性が細胞膜の形成や機能に重要であり、細胞膜にもっとも豊富に含まれている。しかし、多量に貯蔵されることはない。 引用:weblio辞書
●過酸化脂質
不飽和脂肪酸が活性酸素などにより酸化されてできる物質。組織障害や老化の原因と考えられている。脂質酸化物。 引用:weblio辞書
『水素』は人間にとって必要不可欠な元素
ハンガリーの生理学者セント・ジェルジ博士(Szent Gyorgyi)は、水素は人間の生命活動に必要不可欠な元素であり体内に蓄積していた水素が減少すると、生活習慣病や慢性疲労などが生じると言っているほどです。よく『水素水を飲んでも水素分子が身体の中で働くはずがない』『水素はニセ科学だから飲んでも効果がない』といった声を聞きますが、人間の体内で自ら水素が産出されているということは、生きる上で必要不可欠な抗酸化物質であるなによりの証拠だと考えることができるのではないでしょうか?ただ水素水ブームに便乗した『水素水』と呼べない偽物のような商品を飲んでいては、もちろん期待する効果はないので注意して下さい。
●セント・ジェルジ博士(Szent Gyorgyi)
抗酸化物質であるビタミンCを発見したハンガリー出身の生理学者。1937年にノーベル生理学医学賞を受賞。

